5月1日 げつようび
いつの時代も異端児は蔑まれるものさ・・・

                

※ 微妙なネタバレを含んでますので、気になる方は「戻る」ボタンをポチッとな。



「ヌルい、ヌル過ぎる・・・」
「ん、どうかした?」
「最近のRPGはヌル過ぎる・・・」
「何かあったの?」


「勇者が囚われた姫を救い出すために、魔王を退治する?


 そんなありきたりのRPGはヌルいって言ってんすよ!!」

「いやまぁ、ヌルいって言うか、それがいわゆる『王道』ってヤツでして・・・」
「こちとら、ドラゴン退治はもうとっくに飽きてんすよ!!」
「いやそれ、別のゲームのキャッチコピーで聞いた気がするけど・・・」


「と・に・か・く!!

 RPGの面白さは、グラフィックとか操作性ではなく、ストーリー!コレに尽きると思うんです!!」

「ま、まぁ、それも一理あるけど。」
「一理どころじゃないですよ!これが全てであり、真理ですよ!!」
「わかった、わかったから、時に落ち着けって。」
「そんなある日、俺はある1本のゲームソフトに出会ったんだ・・・」
「え、何で急に物語口調!?」
「このゲームのストーリーを目にした瞬間、初めてAKBの握手会に行った時に匹敵する衝撃が俺を襲ったんだ。」
「その衝撃の度合いは、いまいちわかりかねますが・・・」
「プレイしたくて、いてもたってもいられなくなったその衝撃は、怖いほどに、俺の心を迷わせ、惑わせ、壊していったんです!!
「どさくさに紛れて、最後GLAYの歌詞になってんだけど・・・」
「ってことで、今回紹介するゲームはこれだ!!」



『ラストハルマゲドン』(PCエンジン) タイトル画面
タイトル ラストハルマゲドン
ジャンル RPG
発売日 1990年08月31日
対応機種 PCエンジン CD−ROM
発売元 ブレイングレイ



                                             「これだけ絶賛するくらいだから、さぞ有名なタイトルかと思いきや、全然知らないタイトルだ・・・」



「シャーラップ!!」


「 Σ(ロ゚ ノ)ノ  ビクっ !!」
「知名度がそんなに大切ですか!? 人気者がそんなにエライんですか!?」
「い、いや、何もそこまでは言ってないけど・・・」


「選抜総選挙の順位が、そんなに大事なんですか!?」

「それこそ言ってねーよ。」
「いいゲームの定義って何だと思う・・・?」
「え、どうした、急に?」


「グラフィックが繊細なゲーム・・・違う。

 売り上げ本数がすごいゲーム・・・違う!」

「・・・・・・・・・・・・。」


「萌えキャラクターが多数登場するゲーム・・・違う!!」

「・・・・・・・・・・・・。」



「・・・・・ストーリーが素晴らしいことさ。」











     








         
人類が滅亡して、数え切れない年月が過ぎた。
なぜ人類が滅びたのか、今となっては知る術もない。

この星は完全に死に絶え、地表で息づくものは、その姿を土に変え
大地の一部となり溶けていった。

・・・・・今、一つの歴史が幕を閉じたのである。

しかし、星はその力の偉大さを誇示するかのように
地の奥底に眠る生命体を呼びさました。

新しき歴史を生み出すがために・・・


地の奥底に眠る生命体・・・『魔族』の台頭である。
星は新しき世界の幕開けに、異形の衆を呼び覚ました。この大地で生きていけるモノ達を。
このモノ達は、この星に君臨し全てを手中に治めた・・・はずだった。

星が地底より『魔族』を呼び覚ましたのと同じく
天空は、彼方より『エイリアン』を呼び寄せた。

天より舞い降りた彼らは、この星を自分たちの植民星にすると宣戦布告を行う。

「お前らに伝える。大人しく従うならばよし、歯向かうならば殺すまで。
時間は与えぬ。答えは一つ。今、答えるのだ。」



それに対し、魔族の一人が雄叫びを上げた。

「ふざけるな。異星からの侵略者だと!なめた真似するんじゃねえ!!
闘いだ!この星を魔族の楽園とせんがため、貴様等は皆殺しだ!!」



エイリアンの侵略が許せない魔族たちは、各種族の代表12名でチームを組み
エイリアンを根絶やしにすべく画策する。

そんな魔族に、さらに追い打ちを掛けるかの如く、地表で更なる異変が起こった。

突如地表に、謎の光と共に合計108つの得体の知れない『石版』が出現する。
それと同時に、時間の流れが遅く、地表での活動が大きく制限される
『サルバンの破砕日』と呼ばれる1日が存在するようになる。


この星からエイリアンを排除しつつ
『石版』や『サルバンの破砕日』を始めとする、地表で起きている謎を解明するため
魔族より選ばれし12名の猛者達が、今、地表に解き放たれた。


彼らを待ち受ける運命、それがとてつもなきものであることを
この星さえも予測できなかった。


ーーー新しい歴史は壮大なる本当のハルマゲドンで幕を開けた。

         

        



「ストーリーのクセがすごい!!」
人類が死滅した地球で、種族の生き残りをかけた『魔族 vs エイリアン』の壮絶な潰し合が繰り広げられるんです」
「クセじゃ。クセが凄いんじゃあ。」
「プレイヤーは魔族側の視点でシナリオが展開していき、侵略者であるエイリアンを片っ端から皆殺しにしていきます。」
「皆殺して・・・。とても主人公サイドの行動とは思えない・・・」
「理屈も、大義名分も一切関係なし。この世界のルールは『狩か狩られるか』それだけだ。」
「究極の生存競争だな・・・」
「しかーし!!このゲームを、ただバイオレンスなだけと思ったら大間違いですよ。」
「ん、どういうこと?」
「最初に言った通り、とにかくストーリーが秀逸過ぎてマーベラス過ぎて困るんです!!」
「だから落ち着けっての。」
「そもそもなんで、人類が死滅したのか、知りたくないですか?」
「ま、まぁ、確かに・・・」
「なんで、エイリアンがわざわざ魔族が生活しているこの惑星を侵略してきたか、知りたくないですか?」
「ま、まぁ、知りたくないって言ったら嘘になるけど・・・」


「なぜ突如地表に『石版』が出現したと思いますか? 『サルバンの破砕日』が存在する意味って何だと思いますか!?

 もうホント、想像のはるか上をいく驚愕の展開の連続で、ぐいぐい物語に引き込まれること間違いなしですよ!!」

「確かに、この世界観はハマる人はハマりそうだ。」
「そして、何よりオープニングムービーの素晴らしさたるや!!」







「うぉ、まさかのフルボイスか。」
「この9分03秒からなるオープニングを、当時何回繰り返し見たかわかんないですよ。」
「オープニングだけで、ディスク丸々1枚使うなんて、制作者サイドの執念が伝わってくるよ。」


「ファミコンがまだまだ全盛の時代で、『ファイナルファンタジー3』とか『初代ファイヤーエムブレム』などが同時期に発売されているので
 
 それらと比べると、このゲームがいかに突出していか理解していただけるのではないでしょうか。」

「この時代にこのクオリティは圧巻の一言だ。」
「しかーし!!圧巻なのはグラフィクと世界観だけだと思ったら、大間違いですよ。」 
「あれ、心なしかさっきも同じようなセリフを聞いたような・・・」
「もう何ていうか、この世界観にあわせて構築されたゲームシステムが、RPGの常識を大きく覆すほどに圧巻過ぎて困るんです!!」





   




「まずは、これは通常のRPGの戦闘シーンです。」
「某国民的RPGだね。」
「一般的なRPGで敵と戦闘となる場合、『○○が現れた』って表示される事が殆どだと思うんですけど。」
「そうだね。」
「これが、ラストハルマゲドンの場合。」





   








「ヒャッホー!獲物がいたぜ!!」


「獲物て・・・、とても主人公のセリフとは思えない・・・」
「どうでもいい話ですけど、『ヒャッホー』って響きを聞くと、AKBの『さっほー ( 岩立沙穂)』が思い浮かんじゃいますよね (≧▽≦)」
「(マジでどうでもいい話きたー!!)」


「目が合った瞬間に、相手が速攻で狩りに来られるわけですから

 この時の敵側の心情を、さっほーの言葉を借りて言うならば『もぉ〜、は・や・い☆』って感じですよね (≧▽≦)」

「(知らない事を、知らない人の知らないセリフで例えられても、1ミリもわからないんだけどー!!)」
「まぁ、要するに、侵略者であるエイリアンの皆殺しが目的ですから、殺られる前に殺るしかないんです。」
「向こうから襲って来るんじゃなく、こっちから狩りに行くってわけか。」
「・・・・RPGの定義って何だと思いますか?」
「ん?」


「武器屋や道具屋で、装備を調えること・・・違う。

 町や村などで、情報を集めて先に進めていくこと・・・違う!」

「また、このパターンすか・・・」
「仲間との友情や、努力で困難に立ち向かっていくこと・・・違う!!」
「・・・・・・・・・・・・。」


「・・・・・ラストハルマゲドンのことさ。」










     







「武器屋?宿屋?そんな都合のいいもんは一切存在しねーぞ!!


何たって、人類はすでに死滅してるからな!!」


「えぇぇぇぇぇ!?」



「都合のいい情報? ストーリーを進める上でのヒント?

そんなご都合主義的な情報なんて得られるわけねーだろ!!」



「・・・・・・・・・・・・。」



「何たって、人類はすでに死滅しているからな!! 」


「・・・・・・・・・・・・。」
「・・・・・・・・・・・・。」
「・・・・・・・・・・・・。」
「・・・・・・・・・・・・。」
「・・・・・・・・・・・・。」
「コホン・・・すいません、少々取り乱してしまいました。」
「いろんな意味で恐すぎるよ・・・」
「このゲームを一言で言い表すならば、ご都合主義を一切排除した、完全無欠のサバイバルゲームなんです!!」
「ホント異質なRPGだ・・・」
「序盤からどこに行くのも自由。先に進みすぎて、圧倒的な戦力を誇るエイリアンに瞬殺されるのも自由なんです。」
「自由度のクセが凄い。」
「当然、誰からも情報を得られませんし、立ち寄る町すらありませんから、自分のタイミングで好きな場所に行くことができるんです。」
「ってか、宿屋や道具屋がないとすると、体力はどうやって回復するの?」
「あはは、何言ってんすか、そんなの自給自足に決まってるじゃないですか♪」
「えぇぇぇ!? なに、そのRPGらしからぬ設定!?」





        



     




「兎にも角にも、敵のエイリアンを片っ端からぶっ潰していきます。」
「( ゚д゚) すげー、どっちが敵か味方かわかんねー」


「宇宙からの侵略者であるエイリアンを狩ることで獲得できる『ジン(宇宙のチリ)』を集めることで

 それをもとにしたアイテムや、武器・防具を生み出す事が可能となるんです。」

「 ( ゚д゚) すげー、文字通り自給自足だー」
「ちなみに、アイテムを生成する特殊能力は、全キャラに備わっているわけではありません。」
「あ、そうなんだ。」
「このゲームには『時間』の概念があって、フィールドを移動するごとに、『時間』が進行し『日付』が変わっていくんです。」
「ふむふむ。」
「その『日付』は、『月の前半』『月の後半』、そして毎月1日の『サルバンの破砕日』の3つの時間軸に分類されます。」
「なるほど。」
「種族によって、活動可能な『日付』が異なりますので、この3つの時期ごとにパーティーのメンバーが入れ替わるんです。」
「ってことは、1つのパーティーが4名だから、合計12名もプレイヤーキャラがいるわけだ。」


「そうなんです。当然、それぞれの種族によって、使える特殊能力や魔法など、特徴が大きく異なりますので

 それら12名のキャラクターを、いかに使い分けて先に進めていくかが、攻略のポイントになるんです。」

「ってことは、経験値を集めながら、バランスよく育てていく必要があるわけだ。」
「いや、このゲームには経験値の概念はありませんよ?」
(゚ロ゚;) なぬ!?」
「その代わりに、戦闘を重ねるたびに、『基礎能力』が上昇していくんです。」





   




「戦闘で選択したコマンドによって、上昇する能力が異なります。」
「ってことは、バランスよく戦わないといけないわけだ。」
「そうなんです。なので、ただボタンを連打すればいいってわけではないんです。」
「戦闘中に、『魔法』や『防御』などもバランスよく織り交ぜないと能力が偏っちゃうんだ。」


「あとは、『逃げる』コマンドで『悪運』のステータスを上昇させる事も重要だったりしますし

 作業になりがちな敵との戦闘も、いろいろと考えながら行う事になるので、作業だけでは終わりませんよ。」

「確かに。」


「とは言え、このように経験値ではなく、戦闘での活躍状況によって

 能力値の上昇値が異なるので、同じパーティー内でもかなりの格差が生まれます。」

「仲間内で格差が生じるとか、何かヤダな・・・」
「そもそも、世の中ってのは弱肉強食なんですから、、これこそが本来のRPGの姿なんですよ。」
「いや、まぁ、そうなんだけどさ・・・」


「みんなで仲良くレベルアップ? あまい、あますぎんぜ!!

 着いて来れないヤツは、仲間だろうが置いていくぞ!?
ってな具合ですよ。」

「仲間意識の欠如よ。」
「さらには、レベルが一定以上になることで、仲間の種族を自身に取り入れる事で、変身をとげます。」
(゚ロ゚;) なぬ!?」





        

     



「斬新過ぎる。ってか、原型をとどめてねー」
「どのキャラも、『レベル17』と『レベル34』到達時の2回、変身することができます。」
「仲間の種族を自分に取り込むって発想が斬新過ぎる・・・」
「合体する種族は、それぞれ3種類から選択できますので、最終的には6パターンの進化系があるんです。」
「ってことは、最終パーティーの組み合わせが『12名×6種=72通り』って、執念を感じるな・・・」
「パーティーのメンバーは、各種族の首領が集まって結成されていますので、要するに自身の一族の部下を犠牲に捧げるって感じですね。」
「魔族には血も涙もないのか・・・」
「一人はみんなのために、みんなは一人のために。美しきかなワンフォーオールの精神。
「それ、何か違う・・・」





     



        






「とまぁ、そんな感じで、己を鍛え上げ、侵略者であるエイリアンを駆逐していくことで

 この世界の謎が少しずつ解き明かされていく・・・。『ラストハルマゲドン』は、そんなゲームなんです。」

「他に例を見ないくらい濃厚過ぎるゲームだ・・・」


「レトロゲーム特有の操作のしにくさや、不親切さは確かにありますけど

 今プレイしても、時間を忘れて没頭できる名作ゲームだと自信を持って断言できますよ。」

「確かに、興味は沸いたよ。」


「ゲームの内容的に、今後もリメイクやバーチャルコンソールでの配信は期待できないので

 『PCエンジン SUPER CD-ROM 2』という、取っつきにくいハードでしかプレイ出来ず、ハードルはやや高めですが

 機会があれば、是非ともプレイしてもらいたい、至極のゲームの紹介でした。」

「パチパチパチパチ☆」
「ご静聴ありがとうございました!!」
「したっ!!」



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