11月23日 げつようび
ギャグ漫画なのに、心から笑えないのはなぜだ・・・





も・じょ 【喪女】 (名) [mojyo]


「もおんな」とも読む。 定義として

@ 男性との交際経験が皆無。

A 告白された事がない人。

B 純潔である事。


ネガティブ思考で自虐的な事が多い。(対義語 ⇔ ) リア充。



――― これは、とある女の子の、どうでもいい日常の物語。






谷川ニコ 『私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い!』 全巻      『わたもて』 2巻 表紙



『私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い!』

作画 : 谷川ニコ (『ガンガン ONLINE』連載中)


久しぶりに声を出して笑える漫画に出会った。


連載当初から反響が大きく、単行本第1巻は『ガンガン ONLINE』史上最速で10万部を突破し
ネット連載のコミックスでありながら、2015年1月時点で、売り上げ累計200万部を突破するという
異例の人気を誇る、知る人ぞ知る異色の経歴を持つ作品。


この物語の主人公は、高校1年生の女の子。
ごく普通の家庭で育ち、ごく普通に中学を卒業した、どこにでもいるごく普通の女子高生。


ただ、世間一般の女子高生と異なる点を1つ挙げるとするならば・・・






彼女は、ぼっちなのです。


本作の主人公、黒木智子(くろき ともこ)。通称 もこっち。

これは、そんな彼女の日常生活を描いている作品である。
ただ、特別なイベントがあるわけでもなければ、サプライズが起きるわけでもない。
ごくごく普通の日常生活が描かれている「だけ」なのである。


ただそれだけのはずなのに、なぜだろう・・・


これほどまでに、目頭が熱くなるのは・・・






面白いはずなのに、心から笑えない・・・


ぼっち卑屈な彼女の目線から語られるエピソードの1つ1つが
もうね、何て言うか、共感しかできないわけですよ。



   

人生で一番モテる時期である女子高生。
夢と希望しかないと信じて疑わなかった入学式。


それを、容赦なく打ち砕いていく現実。


もうね、何て言うか、高校入学前と入学2ヶ月後のビフォーアフターが
劇的過ぎて掛ける言葉が見当たらんのですよ。

そんな、理想と現実との狭間で、大きく揺れる主人公の心情が
とにかく面白くて、問答無用で声を出して笑ってしまうんですよ。

そして、ひとしきり笑った後には、決まって心が痛くなるんですよ。







もういっそ、殺してくれ。

畳みかけるように描かれる「ぼっちあるある」という名の表現の暴力。

「ぼっちあるある」がこれほどまでに面白くて、これほどまでに心をエグられるものだってことが
強制的に気付かされたと同時に、今まで必死に忘れようと胸の奥にしまってきた感情を
無造作に引っ張り出されて死にたくなります。

リア充には到底理解出来ないであろう、ぼっちのぼっちによるぼっちのためのギャグ漫画。
面白いけど、辛い。そんな作品なんです。

とは言え、この『ワタモテ』は、自虐ネタだけが描かれているわけではありません。
要所要所にほっこりとしたエピソードも盛り込まれていて、それがまた良いアクセントになってるんです。
そして、そのエピソードがまた良いんです。心が安らぐんです。

っつーか、こんな短時間の間に、笑いと絶望どころか、感動に悲壮感、安らぎなど
こんなに多種多様な感情を一気に与えるなんて、俺をどうしたいんだ、この作者は!!


とまぁ、そんな感じで、終始作者の手のひらの上で感情を弄ばれ続け、それに加えて
随所で見せるハイセンスなセリフの数々によって、あっという間に1冊読み終える事ができます。



こりゃホンマ勃起もんやで・・・   いっぱい虫を集めて共食いさせるんだよ


凄まじいな、おい!!

この場面で、このセリフを持ってくるのか・・・!!といったような
おおよそ常人では思いつかないような、台詞の数々。
特に、主人公であるもこっち振り切れ具合は、1周回ってむしろ清々しい。


とまぁ、ここまでは彼女の壮絶なぼっちっぷりを語ってきましたが、
彼女も常に一人ぼっちかと言うと、実はそうではない。

確かに通っている高校に1人も友達はいないのは、まぎれもない事実であるが
家に帰れば、当然家族はいるわけだし、中学生時代の友達もいる。


そんな脇役キャラたちがね、またいいんだ。



◆ 黒木 智貴

     わたモテ 『黒木智貴』

姉を見下すクールでイケメンの弟。

イケメンの上に、クラスメイトからの人望も厚い。
さらには、スポーツも万能というハイスペックな能力を持った弟。

人としてのスペックに雲泥の差があることを卑屈に感じている姉とは
適度な距離感を保ちつつも、随所に姉想いの一面も見せる。


「学校では話しかけてくんなって言っただろ。」




◆ 希心(きこ) / きーちゃん

   私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い! 『希心 (きーちゃん)』

智子を哀れな目で見る、従姉妹の女の子。

かつては年上の姉ちゃん的存在であった智子を尊敬していた時期もあったが
自身も成長するにつれて、智子の哀れさに少しずつ気付き始めて
哀れみどころか、ゴミを見るような視線で見ていた。

しかし、その極度の哀れさから
一周回って、今では不自然過ぎるほど智子に優しく接している従姉妹の女の子。


「んと・・・そっちじゃなくて・・・」




◆ 小宮山 琴美 (こみやま ことみ)

   ワタモテ 『小宮山琴美 (こみなんとかさん)』

中学時代に同じグループに所属していた同級生。

もこっちと中学生時代の同級生で、もこっちと同じ高校に通っている。
中学生時代は同じグループに属していたものの、お互いの事をあまり良く思っておらず
仲が良かったわけでもない。

高校の図書館で偶然に再会した際にも、名前すら忘れられており
最後まで思い出せなかったもこっちからは、「こみなんとかさん」と呼ばれた。

もこっちの事は嫌いだが、もこっちの弟の智貴に好意を寄せている。


「相変わらず、趣味は一緒かよ・・・」




◆ 成瀬 優 (ゆうちゃん)

     ワタモテ 『成瀬優 (ゆうちゃん)』

高校デビューを果たした、かつての親友。通称「ゆうちゃん」。

中学生時代に、もこっちと同じグループに属しており
今は違う高校に通っているが、見事なまでに高校デビューに成功した、かつての親友。



   ウォーズマン 『パロ・スペシャル・ジ・エンド』   
   高校デビュー
         【中学生時代】                              【高校デビュー後】

もうね、これは何て言うか、高校デビューがどうこう言う前に

可愛すぎるわけですよ。

巨乳だし、良いにおいするし、もこっちに対しても常に優しく接してくれていて
とにかく全てにおいてパーフェクト超人なわけですよ。

美人でスタイルが良いだけじゃなくて、性格もいいなんて、
最高かよ、おい!!


そんな人としてハイスペックなゆうちゃんと、人として底辺なもこっちの絡みが
いい味出し過ぎていて、笑わずにはいられないわけですよ。



   どんなパンツはいてるの?


これは、危険すぎる。

この2人の絡みは、とにかく破壊力抜群です。

危険過ぎる視線で、ゆうちゃんを見ているもこっちと、その視線に気付かないゆうちゃん。
この両極端の登場人物の対比が何ともいい味出してます。

その他にも、弟の智貴との絡みや、母親との会話のやり取りなど、挙げるとキリがないですが
強烈な個性を放つ主人公もこっちと、彼女を取り巻く、魅力的な名脇役たちが支える日常生活が
全力で笑えて、全力でほっこりして、全力で落ち込めること請け合いです。


ちなみに、この『ワタもて』はアニメ化もされており
深夜にひっそりと放送されていたわけなんですが・・・



アニメ版 『私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い!』 オープニング   アニメ版 もこっち


アニメの振り切れ具合も危険すぎる。


毎回、深夜なのに大爆笑してしまうくらいの振り切れ具合が凄まじかった。

もこっち役を演じた、声優の橘田いずみさんの全力の演技っぷりたるや
リスペクト以外の言葉が浮かばない。

この漫画が気になった方は、是非ともアニメ版の方もチェックしていただきたい。
自身を持っておすすめ出来る仕上がりとなっております。



さて、いかがだったでしょうか『私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い!』レビュー。
作者自身が、「4巻くらいで終わると思っていたからネタがない・・・」と語っている通り
確かにここ最近は、1、2巻あたりの破壊力は微妙に薄れてきてはいますが
それでも、電車の中で読むには、あまりにも危険なのでご注意あれ。


ってことで、ここまで長々と語ってまいりましたが
つまるところ、まとめると、アニメ版のゆうちゃんの可愛さである。

   アニメ版 ゆうちゃん 巨乳×眼鏡


巨乳眼鏡の組み合わせこそが、ジャスティスなのでした。まる。






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