『MIX -ミックス-』

                

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連載が終了してから25年以上の時を経て
あの名作野球漫画『タッチ』が帰ってきた・・・


物語の舞台は、『タッチ』の26年後。
―――明青学園。




あだち充 『MIX -ミックス-』 01巻   あだち充 『MIX -ミックス-』 02巻


『MIX ‐ミックス‐』
作画 : あだち充 (『ゲッサン』連載中)

舞台は明青学園野球部。
上杉兄弟の伝説から26年。

今、再び運命の兄弟が明青学園の扉を開く。

そして物語は始まる―――

(コミック裏表紙より)


原作を読んだことがなくとも、そのストーリーと
「南を甲子園に連れて行って」というレジェンド級の名言を知らぬ人はいないだろう。
それほど、国民的な漫画である『タッチ』。

最近ではあまり見かけなくなってしまったが
自分が小学生の頃の夏休み、必ずと言っていい程アニメの再放送を見て過ごし
当時の僕らに、青春の素晴らしさと、幼馴染に対するの憧れを教えてくれた漫画だった。

その物語の舞台となった『明青学園』を舞台として描かれた、あだち充の最新作。


よくぞ、書いてくれました (≧▽≦)


いや、もうホントね、この一言に尽きますよ。
だって、ページをめくりながら、ニヤニヤがとまらないから。

確かに大まかなストーリーや、登場人物の設定などは、相変わらずですよ。
相変わらずっていうか、同じ過ぎて過去の作品を読み返しているような感覚に陥ることもありますよ。
だからこそ安心して読むことができるんです。

そして例外なく面白いんです。




おれが兄貴で、おまえが弟

   


『MIX』の主人公は、『タッチ』と同じ、同級生の兄弟。

   MIX 『立花走一郎』&『立花投馬』
     左 : 立花走一郎 (兄)  /  右 : 立花投馬 (弟)

初めて読む漫画なのに、なぜか初めての気がしない兄弟を軸にして
物語は展開されていく。

水島新司御大と同様に、60歳を超えても、なお制作意欲の衰えないあだち充の作品からは
古臭さは微塵も感じられない。
それどころか、年齢を重ねるごとに洗礼されている、そう言っても過言ではないだろう。

その中でも特筆すべきは、ヒロインの可愛さである。



MIX 『立花音美』
今回のヒロイン『立花音美』


きれいな顔してるだろ・・・
シャワー浴びてるんだぜ、それ・・・


たいした脈略もないのに、ただ、ちょっとヒロインってだけで・・・

全裸になってんだぜ。






最高の演出だろ。


今回のヒロインは、あだち漫画お約束の、幼馴染・・・ではなく
立花兄弟の弟「投馬」の、義理の妹「立花音美」である。

そして、何の脈絡もなく、唐突に入浴シーンが描かれるこの安定感。
( ゚∀゚)o彡 シャワー!シャワー!

「本当の兄妹じゃないから、恋愛も可能だよね?」的な展開になる気配を漂わせながら
ストーリーは進行していきます。


そして、さらには・・・




MIX 『大山春夏』
もう一人のヒロイン『大山春夏』


きれいな顔してるだろ・・・
着替えを覗かれてるんだぜ、それ・・・


たいした脈略もないのに、ただ、ちょっとヒロインってだけで・・・

パンツ一丁になってんだぜ。






最高の演出だろ。


もう1人のヒロインは、立花家の隣に引っ越してきた同級生「大山春夏」
まるで朝倉南を彷彿とさせるように、明青学園の新体操部に入部している。

そして、何の脈絡もなく、唐突に着替えシーンが描かれるこの安定感。
( ゚∀゚)o彡 着替え!着替え!


この神演出には、もはや「ムフッ」という言葉以外、思い浮かばない。


それどころか、この2人のヒロイン・・・


   H2 『古賀春華』     H2 『雨宮ひかり』
     左 : 古賀春華  /  右 : 雨宮ひかり


『H2』のヒロインと同じ顔してるだろ・・・


ウソみたいだろ。



同じ顔だっていいじゃないか、あだち充だもの。



ってことで、 初めて読む漫画なのに、なぜか初めての気がしないヒロインも登場して
物語は展開されていく。


高校野球×青春=熱血
という、野球漫画お約束の方程式を、当然の如くスルーして
汗臭さを全く感じさせずに、がっつり青春しちゃってる演出こそ唯一無二のあだち充ワールド。

『ナイン』『タッチ』『H2』『クロスゲーム』と、これまでのあだち充の野球漫画は全て週刊誌で連載されていたが
今回の『MIX』は月刊誌での連載となっている。

連載誌が週刊から月刊に変わったとしても
野球よりも、日常生活をまったりと描くスローテンポさっぷりは相変わらずの安定感で
ヒロイン同様、安心させられる。そんな星屑ロンリネス。




1ページ使っての背景描写


必要以上に描かれる風景描写は、本作でも健在。

たとえ月刊誌だとしても、ほぼ毎回と言っていいほど
1ページをフル活用した風景描写は、もはや伝統芸。

一見無駄に思えるこの描写も、物語に絶妙なアクセントを演出するためには必要不可欠なものであり


決して「手抜き」ではないと、僕らは信じてる。


そして、さらには・・・


        


寸分たがわず同じコマを書くという描写も、物語に絶妙なアクセントを演出するためには必要不可欠なものであり


決して「手抜き」ではないと、僕らは信じている。
まるでコピーしたかのように描くことができるテクニックこそ、熟練の技だお☆


そんな月刊誌であることを忘れさせてくれる程のスローペースっぷりで描かれる『MIX』も
単行本の4巻からは、明青学園に進学した立花兄弟初の対外試合がスタートする。




遂に始まった、対外試


何だかんだ言っても、試合は熱い。


4巻からは、立花兄弟にとって初めてとなる対外試合が描かれ
物語は一気に加速していく。

やっぱり、何だかんだ言っても、あだち充の描く試合は面白い。
兄弟バッテリーという設定も、自然と胸が熱くなる。



   MIX 『西村拓味』

『タッチ』に登場した勢南高校のエース西村勇の息子である『西村拓味』


   MIX 『パンチ』

お馴染の犬『パンチ』まで登場し、今後の展開にますます目が離せない。

前作『クロスゲーム』では、やや中途半端な形で連載が終了した感があるので
今回は最後まで全力で駆け抜けてもらいたい。


『思い出補正』という言葉だけでは語りつくせない名作が、そこにはある。






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