頭脳戦艦ガル 攻略レビュー「そう、俺はちっぽけな戦闘機・・・」

                


まずは、このゲームのストーリーを紹介するとしよう。
(※ 以下、説明書より)


銀河系Aダクトでは、ジスタス惑星と
ガーネットスター&ギガラスの双子惑星が反目しあっていた。
緊張感高まる中、ガーネットスターが宇宙空間制御装置「ドラッグ」を開発。

このままではシズタス惑星は破滅だ!!

「頭脳戦艦ガル」は「ドラッグ」を破壊するために
戦闘機を乗せ、戦いに出た・・・。




よくあるストーリーと言ってしまえばそれまでだが
単純であるからこそ、親しみやすく、すんなりとゲームに入り込めるというもの。

スクロールRPGという未知のジャンルに
溢れ出る興奮を抑えつつ、震える人差し指でファミコンに電源を点す。


   

このRPGは、2人同時プレイも可能なのか!?

今まで、数多くのRPGをプレイしてきた自負はあるが
タイトル画面に

1  PLAYER
2  PLAYERS

このような選択肢があるなんて、初めての経験です。

自分の人生において最初で最後となるこの選択肢に対して
大きな戸惑いと、軽い眩暈を感じつつも
1 PLAYER』を選択しゲームを開始するとしよう。

すると、ショボすぎて逆に新鮮なBGMとともに
まだ英語に触れていない小学生にとっては、少々難解な画面が現れます。

文章の内容は分からないが、それはゲームを進めていくうちに理解していけばいい。
さぁ、ファミコンで唯一無二となっている『スクロールRPG』という
前人未到の新ジャンルへ、今・・・足を踏み入れる・・・


ARE  YOU  READY?



   


こ れ の ど こ が R P G ?


どの角度から見ても
縦スクロールのシューティングゲームにしか見えない素晴らしさ。

どの角度から見ても
スターフォース』の劣悪コピーにしか見えない素晴らしさ。


   

世間一般では、これがRPGと呼ばれてます。

他人を疑う事を知らない純真無垢な当時の自分にとって

新感覚のスクロールRPG』という宣伝文句があまりに新感覚過ぎて


カセット引っこ抜いて
窓から叩きつけたくなりました。


さて、電源を入れてわずか10秒で
常人には到底理解することの出来ない世界に引きずり込まれ
我を忘れて取り乱しそうになってしまいましたが

改めてプレイを再開してみると、先程は取り乱していて見過ごしていた事実に
幸か不幸か気付かされることになります。

その事実とは・・・


PARTS 100?

またまた、常人には理解し難い領域に達しているため
再度改めて説明書に目を通してみましょう。
(※ 以下、説明書より)


このゲームの最終目的は、宇宙空間制御装置「ドラッグ」を破壊することです。
この「ドラッグ」を破壊するためには、敵を倒しながら地底、コア、宇宙とワープし

パーツを100個集めなければいけません。

100個集めるためには、攻撃してくる敵に撃ち勝って
プレイヤー機をどんどんパワーアップさせなくてはいけません。
これも戦いの大きなポイントになります。




つまり、画面上に記されている『PARTS 100』の文字が意味するところは
残機が100機あるという気の利いたものではなく
各地に散らばっているエネルギーパーツを100個集めろって事です。

分かりやすく言い換えるならば


100面以上のステージをクリアしろって事です。



おっと、窓から叩き付けるのはまだ早いですよ?


でも、ステージが100面以上もあるなら
多彩なステージを楽しむ事が出来て、むしろワクワクするじゃん☆

素直にそう思えた他人を疑う事を知らない純粋無垢な方々のために
その多彩なステージの数々を じっくりと紹介していくとしましょう。


     

この3種類です。

全部で100面以上のステージをクリアしないといけないのにも関わらず
このバリエーションの少なさです。

あ、ちなみに

細かく分けて、この3種類です。

それぞれのステージには名称があり
画面左から、『地底面』『コア面』『宇宙面』と呼ばれており

地底面 : 全12面
コア面  : 全08面
宇宙面 : 全10面

この合計30面を、各ステージに1つずつしかないエネルギーパーツを100個集めるまで
地底、コア、宇宙と、ワープして周り続けなければならないのである。

永遠に、そして無気力に。

しかし、ここでもう一度原点に戻ってよく思い出して欲しい。
これは『シューティーングゲーム』ではなく、世間を騒然とさせた『スクロールRPG』なのです。

巷にあふれている、世間一般のゲームとは
一味もふた味も違うのは、最初から分かっていた事ではありませんか。

それでは気を取り直して
その斬新すぎる特徴を、順を追って説明するとしよう。


   

分岐します。

己の道は己で切り開けという、無言のメッセージでしょうか?

上記の画像のように、『地底面』の各ステージの最後には分岐点がありますが
マルチエンディングでもなければ、違う道を選んだところで
結局、100面をクリアしないといけないのは変わりません。

そのため、どのような道を選択したとしても、30面ほど進むと

問答無用で、1面に戻されます。

上分かりやすく言い換えるならば

3種類しかないステージを、それぞれ約33回ずつ繰り返して
合計100個のエネルギーパーツを集めろってことです。


永遠に、そして無気力に。

しかし、ただ単調に繰り返すだけではありません。
30面程進み、最初のステージに戻される直前には『ボスキャラ』が出現します。

ステージのバリエーションなんてどうだっていい。
シューティングで大事なのは、いかにボスキャラがプレイヤーにスリルを与えてくれるかだ!!
そう素直に思えるあなたは玄人です。

クソゲー玄人。

それでは、そのプレイヤーにスリルを与えてくれる
ボスキャラを紹介したいと思います。


      

この3種類です。

ラスボス以外で登場するボスキャラは
気を抜いていると、全部同じキャラに見えてしまうこの3種類のみです。

そして、スリルを与えてくれるどころか

適当にボタンを押しとけば、あっさり倒せます。

おっと、ここでキレるのはまだ早いですよ。
このボスを倒した後には、嬉しい嬉しい『ボーナスステージ』が待っているんです。

そうだ!!シューティングゲームの醍醐味は
多彩なステージでも、ボスキャラでもない。
気を張り詰めているプレイヤーを、癒しの空間に誘ってくれるボーナスステージが大切なんだ!!

そう素直に思えるあなたには、もはや何も言うことはありません。
それでは、そのボーナスステージの全貌を見るがいい・・・


   

何 こ れ ?


ボスを倒すと、唐突にこの緑の物体が出現します。
よく理解できないまま、この物体を攻撃してみると
【BONUS】という表示とともに、かなりの高得点が加算されていきます。

グラフィックや演出は、コメントが難しいですが
この物体に攻撃すればするだけ得点が増えるとあっては
無条件でテンションも上がってしまいますね♪

それでは、気分が乗ってきたのでボタンを連打したいと思います。
男の生き様、見てください。

そんなだいたひかるの言葉を思い浮かべながらボタンを連打して
この物体を破壊すると、何と『100000点』という

ゲームを投げたとしか思えない点数が加算されます。

さらに、豪華特典として・・・


今まで獲得してきたエネルギーパーツが
一瞬にしてゼロになります。


(※ちなみに、最初のステージにも一瞬にして戻されます)


今まで苦労して作り上げてきた砂のお城を

リストラされたサラリーマンに
徹底的に踏み潰された時の気分です。


このボーナスゲームで得た高得点の代償は、あまりにも大きく
リセットボタンを徹底的に連打したい衝動に駆られますが

このゲームには、コンテニュー機能はありません。

その震える拳をグッと堪えて、この場は耐え抜きましょう。

うまい話なんて、この世にはないという社会の厳しいルールを
純粋無垢な子供に、トラウマになってしまいそうなほど体に刻み付けられる出来事でした。

さて、言いたいことはまだまだあるのですが
ありすぎて全部紹介する前に、ゲーム自体を嫌いになってしまいそうなので
エネルギーパーツを100個集めることでしか辿り着くことの出来ない

ラスボス : 宇宙空間制御装置「ドラッグ」

その全貌を、今解き明かすとしよう・・・


頭脳戦艦ガル ラスボス

何 こ れ ?


いくら世間ではクソゲーと認知されていたとしても
100面以上もの修羅場を切り抜けてきた分、多少は期待もしていたのですが

背景と同化していて、よく分からない物体が
BGMが変わるどころか、何の効果音もなく現れます。

拍子抜けを通り越して、完全に「無」の表情となってしまいましたが
苦労してここまで辿り着いただけあって、さすがに感慨深いものがあります。

100面以上のステージを切り抜けて、100個のエネルギーパーツを集め
その全てを手にした状態で最終ステージまで辿り着かなければ
遭遇することのできない ラスボス『ドラッグ』。

ドキドキしながら迎え撃った、あまりに弱すぎるボスキャラ。

その後に待っていた、『酷い』という形容詞がよく似合うボーナスステージ。

そして、高得点の代償として失った全てのパーツと
限られた人生の中の貴重な時間。

その全てが今となっては、いい思い出です。
そんなことを振り返りながら、物思いにふけっていると・・・


      

止まりません。

あっという間に、自機がラスボスの横を通り過ぎていきます。

この間、わずか13秒。

それはまるで、走馬灯のように。

それはまるで、今までの努力を嘲笑うかのように。

そして・・・


ノーマルワープ?

あまり深くは考えてはいけない気がする文字が、画面上に浮かび上がります。

そして、このノーマルワープによって辿り着いた先に待っていたものとは
感動のエンディングなのか

それとも・・・


ステージ1に戻されちゃいます。

いや〜、今夜はまだ寝かさないぞっ☆っていう
無言のアピールですかね。

これまでの苦労を、有無も言わせず「無」に帰してくれる、素敵過ぎる演出を目の当たりにして
このゲームが「シューティングゲーム」ではなく「スクロールRPG」と言い張る
意味が分かったような気がします。


強制スクロール

そういうことなんですね♪


なかなかどうして、殴り殺したくなるくらいお茶目な演出です。

ただ、このまま引き下がるわけにはいきません。
だって、そうでしょう。

一体、どれ程の時間を無駄にしてきたと思ってんだ。

ここまで来たら、自暴自棄になりながらも
再び30面の長旅を経て

ソロモンよ、私は帰ってきた。

そして、遂に・・・


ラスボス、見事撃破!!

先程は、ラスボスの素晴らしすぎるフォルムに見とれている間に
強制スクロールされてしまったばかりなので

今度は相手の急所目掛け
ガムシャラにボタンを連打して、見事ラスボス『ドラッグ』撃破。
そして画面上に浮かび上がる文字



HIT!!

WAR IS OVER.



長かった戦争は終わりを告げた。
そして・・


頭脳戦艦ガル エンディング 01     頭脳戦艦ガル エンディング 02

感動のエンディング

25年以上も昔のゲームなので
素晴らしいエンディングは最初から期待してはいなかったので
これくらのシンプルな方が、逆にしっくりときますね。

その中で特に注目して頂きたいのが、画面左の下線部「BATTLESHIP GALG」の文字。
そう、これはゲームのタイトルともなっている『頭脳戦艦ガル』を指している。


皆様はお気づきだろうか?

実は、この『頭脳戦艦ガル』は
このゲーム中に、一度たりとも登場してはいないことを。



え? 今まで操っていた自機が『ガル』じゃないのかって?


自分の機体名は『ジスタス‐21

そう、俺はエンディングに名前すら表示されない
頭脳戦艦ガルに搭載されている、ちっぽけな戦闘機さ。



合掌






言いたい事とかあるなら言えばいいじゃないか・・・


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